ひとり映画日記2

映画・本・イギリス(アメブロ『ひとり映画日記』から引っ越し

いろんな意味で怖い――『住みにごり』

Kindle Unlimitedに入ってみた! 電子書籍だと目が滑るんだよなー、どうせツイッター見ちゃうし....と使わずにいた電子書籍を、電子書籍でしか読めない本のため渋々入れてみたら、え、全然ハマっている。

 

マンガもあるし、『夏目友人帳』なんて何巻も読み放題、山本周五郎とかの小説もある。気になっていた作品をどんどん追加していく。『六人の嘘つきな大学生』なんて、電車で読んでいたけれどあまりの面白さに周りの景色が消えた。

 

そしてもう一つ読んだのが、たかたけし『住みにごり』。確かヴィレヴァンのインスタで紹介されていた。そこでもギャグなのか、ホラーなのかと書かれていたが、面白怖いマンガだ。久しぶりに実家へ戻ってきた主人公と、その噛み合わない家族。無職でポテチばっかり食べている兄、怒ると垂直飛びをするアルコール依存症だった父、寝たきりの母。社交性のありそうな溌剌とした姉も、妙に全てを肯定的に解釈していてなんか怪しい。でも兄はかわいらしく見える瞬間もあり、ユーモアなのか恐怖なのかわからない。

 

兄が陰で何かをやっているのでは、秘密があるのでは、とこわごわとページをめくるとギャグだったり、やっぱり怖いと思い直したり。服に引っ付いたキャベツや父の垂直飛びなど、不気味な要素は散りばめられている。

帯文には「万引き家族、半地下家族の次はコレ!!」とあるが、「家族」という狭く閉じたコミュニティの恐ろしさが浮き彫りになる作品ではありそうだ。が、それよりも怖かったのは、主人公が田舎に帰ってきた理由だ。通勤、残業、「帰りに松屋で飯食って風呂入って寝て」「ただそれをくり返してるだけなのに、貯金は全然貯まらない」(pp.159-160)。恐ろしい。主人公がそれをSNSで呟いて炎上するところも含めて、あまりに的確な描写で怖い。あまりにも「今」。

2巻以降も読みたいような、読みたくないような......。