ひとり映画日記2

映画・本・イギリス(アメブロ『ひとり映画日記』から引っ越し

映画

大島渚『絞死刑』

映画館に行かないと気が済まない。仕事中、脳内は「仕事が終わったら大島渚仕事が終わったら大島渚大島渚」と唱え続けていた。 『絞死刑』を観ました。(以下結末に触れています) いきなり、死刑に関する世論調査の結果が表示され、死刑制度廃止に反対の人…

デッドデッドデーモンズ(以下略)感想

すっごく面白かった!配信でもいいかなと思っていたけれど、観に行ってよかった。この傑作を見逃すところだった。 マンガの連載が始まったとき、変わったタイトルだなと思った。マンガは読んでおらず、どういう話かまったく知らないまま観に行った。キャッチ…

高速回転からの投げ出し 『ボーはおそれている』感想

アフター6ジャンクションでは、「ボーはおそれているを観に行くか、ライムスターの武道館ライブに行くか、あるいは両方か」と話していた(公開日とライブの日が同じだったのだ)。(何も知らずに観たい人は以下読まないで) 2月はライブもだが映画にさえ行…

ディズニー再訪 レジェンドの子ども篇

ディズニープラスに加入してみた。 私の親や親戚はディズニーとジブリが教育に良いと思っていたのか、この2社のDVDは―まだDVD全盛の時代だったんです―やたらとある幼少期だった。一時期のディズニーは、有名作品の続編を作るのに凝っていたように思う。それ…

人生は楽しい『哀れなるものたち』(ネタバレ注意)

全然「いい話」でも明るくなる話でもないけれど、人生は楽しいと思った。 知っていくこと、発見すること、好きな人といること、自分で選ぶこと。 その選択肢を制限されたり奪われてきたりしたのが女性だが、ベラ・バートンは彼女を閉じ込めようとする男たち…

「実写化」というか優れた「翻案」——『カラオケ行こ!』

『カラオケ行こ!』は最も好きなマンガの一つだ。何度読んでも同じ場所で新鮮に笑える、すごいマンガだと思う。ヤクザがカラオケ大会のため練習をするというギャップと、それに付き合う(付き合わされる)男子高校生の淡々とした感じ。フキダシの外に書かれ…

死者は別の人なのかも――『トーク・トゥ・ミー』と『異人たちとの夏』

死んだ人にもう一度会う、死者が「この世」に来る、というストーリーはいくつも存在している。しかし、死んだ人はやはり生きていたときの人とは別人なのかもしれない。映画『トーク・トゥ・ミー』と『異人たちとの夏』を観てそう感じた(以下ネタバレあり)。…

美味しいものだけが救ってくれる『ポトフ 美食家と料理人』2023.12.29

この間は私の誕生日だった。誕生日プレゼントに、新宿武蔵野館で『ポトフ 美食家と料理人』を観た。Filmarksで好きなレビュアーがほめていた映画だ。 フランスの上流階級のある家。主人公の男性は美食家で、常に美味しい食事とワインを求めてやまない。映画…

優しいスピッツ

前に向田邦子の小説を読んでいて、「スピッツが嫌い」という一文にあたりどきっとしたことがあった。スピッツ嫌いなの?というかこれはいつ書かれた作品? よく考えたらスピッツとは犬のことなのだった。 今日のスピッツはバンドのスピッツです。 目黒シネマ…

『ほつれる』と『悪人』と『零落』 2023.10.01

私の今年のベスト映画は『ケイコ 目を澄ませて』だ。これはもう揺るがないと思う。それに匹敵するくらい面白かったのが、今日観た『ほつれる』。門脇麦演じる主人公が「浮気相手」と会い、夫とかみ合わず、という様子を淡々と映し続けるとても地味な映画だ。…

自分はいない 2023.09.12

『白ゆき姫殺人事件』を観て、いやな映画だなあと思いながら寝た。変な夢を見た気がする。本作では、とても美しい女性が殺された事件をきっかけに、その事件を面白半分に追うテレビ局のADやツイッター(なつかしの2010年代のツイッター)ユーザーらが交錯し…

幽霊屋敷 2023.09.06

今日は「スカロケ」はあまり聴けなかったけれど、「ダレハナ」を聴いた。山崎怜奈さんでも嫌な気分になることはあるんだなと思った。当たり前だけれど。「自分で自分の機嫌をとる」と言っていたけれど、山崎怜奈はいつも、自分が置かれた状況を冷静に見てい…

バービーが背負ってきたもの――映画『バービー』

「バービー」を映画化するなんて、どんな話になるんだろう?やや不安を覚えながらも、『若草物語』のグレタ・ガーウィグ監督ならと楽しみにしていた。 ....「バービー」の枠を借りジェンダー不平等を描くなんて、さすがだった。映画『バービー』ではバービー…

レインボー・リール東京 『孔雀』

初めて、第31回レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~ に行ってきた。LGBTQを描く映画の映画祭で、今週17日までは表参道、来週は渋谷で開催される。表参道のスパイラルホールで上映された『孔雀』を観てきた。 会場の外に飾られたレイン…

日記 2023.07.04

今日も暑かった。なんだか全然仕事に集中できない。毎朝苦しい。 高村薫『黄金を抱いて飛べ』を読んでいる。サスペンスとのことだが、男性間の濃厚な情愛?恋愛?みたいな感情が随所にほとばしっていて人間関係も気になるところ。ひたすら暴力的で荒々しい。…

観ていて苦しい映画『ロストケア』(結末にふれています)

映画『ロストケア』を観ている間、なんだか嫌な気分だった。嫌な話であることには間違いないが、ストーリーとは別に映画自体になんとなく「嫌だ」と思っていた。松山ケンイチと長澤まさみの豪華共演、小説の映画化でお金もかかっていそうな一作。サービスデ…

お葬式はかくも滑稽なものか 2023.05.21

5月X日 立川シネマシティで伊丹十三『お葬式』を観る。 『お葬式』は東京から帰ってきた男性の、アボカドにうなぎという豪華な食事の場面から始まる。男は妻と「妾をもつかどうか」なんてしょうもない話をしている。しかし、その晩男は苦しみ病院へ向かい、…

『世界は僕らに気づかない』

「アセクシュアル」だと明言する人物が出てくる映画を初めて観た。『世界は僕らに気づかない』(飯塚花笑監督)だ。主人公はフィリピン人の母と日本人の父(作中には出てこない)をもつ少年の純悟。英題の『Angry Son』のとおり、ジュンは自分の置かれた状況…

ピーチが最後まで強い人間でよかった

"> マリオ(の映画)が大ヒット、大ヒットと聞くので気になって『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を観に行ってきた。NYに暮らすマリオとルイージの兄弟は水道管修理のビジネスを始めるも、周囲からは見下されている。しかしある日、マリオとルイー…