ひとり映画日記2

映画・本・イギリス(アメブロ『ひとり映画日記』から引っ越し

ある新入社員の1日

 働き始めてもう少しで1か月が経つ。私は「新入社員」だ。マナーも、仕事も、業界のこともわかっちゃいない。とにかく、毎日こんなに覚えることがあるのかと思うとくらくらする。

 

9:00 出社。メールを確認する。別に私がメールで誰かとやり取りをしているわけではないので、ただ見ているだけだ。最初は実在のカード会社を名乗っていた詐欺メールが、だんだん手抜きをして会社名を間違えだすのを観察している。

 

9:30 ミーティング。私がやるべき仕事はせいぜい1つか2つなのに、遅くてすみませんと思う。

 

仕事開始。上司に質問をしに行こうと思い、腰を上げかけ、やっぱり今じゃない方がいいかなと思い座る。質問をして嫌な顔をされたことはないが、何度も聞いてるとさすがに仕事を邪魔している気がしてくる。あんなにいくつものことを並行して仕事をしているのに、全部覚えていてすごいなあ。すごいなあと言っている場合ではない。

 

11:00 あと1時間でお昼だ、早く昼になれと思う。同時に、午前中もたいして仕事が進まなくてびっくりする。

 

12:00 光の速さで会社を出る。というのは嘘で、片付けが遅いからのろのろと会社を出る。パソコンの近くにペットボトルを置いているのが不安だから持って出る。私がいない間に倒れてパソコンにお茶がかかったらどうしようかと思うからだ。こういうことを案じているから遅いのだろう。お金がないからコンビニか弁当。「ランチに1000円出せる」のはいつかなあ。読書するかツイッター見る。帰りは必ず音楽を聴いて自分を鼓舞する。

 

13:00 机に戻りたくないけど戻る。上司に質問をする機会を狙う。この前教わったことなのに記憶が曖昧な気がして怖い。

 

14:00 何がわからないのかわからない。

 

15:00 会社の先輩や上司に話しかけるときは声が小さい気がする。みんな優しいけど震えるほど緊張する。

 

16:00 メールの溜まっていくスピードにはびっくりだ。何日か休んだら受信トレイ見たくなくなるかもしれない。詐欺メールの件名に誤字が増え、自棄をおこしていると推測する。

 

17:00 もうすぐ退勤もうすぐ退勤

 

18:00 上司に進捗を伝える。仕事が遅くてほんとすみませんだが、着実にはやっているはず。

 

19:00 退勤!

 

帰り道で獣医のエッセイを読み全然違う世界に思いを馳せる。

 

仕事は好きなのだが、大学での研究とは違うので、一から修行をしている気分でそこが大変苦しい。去年の5月はエントリーシートを書きなぐっていたなんて、遠い昔のようだ。

ジェラート