ひとり映画日記2

映画・本・イギリス(アメブロ『ひとり映画日記』から引っ越し

学会に行ってきた

 明治学院大学でおこなわれた日本社会文学会2023春季大会に参加してきた。テーマは「関東大震災100年と文学」。映画監督の森達也氏、研究者の鴨川都美氏、堀井一摩氏、大和田茂氏の発表を聞いた。

 『A』の森監督が目の前に!と思うと緊張した。今年の9月には『福田村事件』が公開される。映画は、自警団による行商人虐殺事件を扱っているという。行商人たちが「朝鮮人と間違えられ」、自警団に殺された事件。監督の話は1923年前後の日本の差別について、現代でも残る問題についてだった。もちろん「朝鮮人だから」殺されていいはずなんて絶対なく、シンポジウムでは会場からの質問も含めそのことにもふれられていた。100年前と今がとても似た状況にあるように思い怖くなった。

 労働演劇の上演に労働運動に編集にと活動した平沢計七の研究(大和田茂)、芥川龍之介作品にみる朝鮮人虐殺(堀井一摩)、村山知義の演劇(鴨川郁美)と、どの発表も興味深かった。平沢計七も村山知義のことも全く知らなかった。「労働演劇」というジャンルがあることさえ。シンポジウムで取り上げられたジェンダーや人種をめぐる差別問題も気になるテーマだった。

 特に芥川作品の分析.......! 咀嚼しきれなかったところもまだ残っているけれど、鮮やかでただただ「凄い.....」と感動していた(そりゃプロの研究はすごいのだが)。

 関東大震災で東京の劇場が激減したのも、考えてみればそうなのだが、思ったこともなかった。谷崎潤一郎は東京に拠点を置いていたのを震災後関西に移り、『蓼食ふ虫』の舞台が関西だったなと思い出した。ああ、また大学院で研究したいなあ。