ひとり映画日記2

映画・本・イギリス(アメブロ『ひとり映画日記』から引っ越し

コーチャンフォーを求めて 2023.09.17

 コーチャンフォーには思い入れがある。

 たぶん全国展開している店ではないので、馴染みのない人には不思議な単語に見えるかもしれない。「コーチャンフォー」はでかい本屋。雑貨とCDも扱っている。広大な面積と豪華な内装が特徴だ。その広さゆえ、郊外にしか多分つくれない。コーチャンフォーという不思議な名は「Coach&Four」から来ているのだ。それなのに「コーチャンフォー」と呼ぶ、語感の不思議さも含めて素敵な店なのだ。昔、私は何かとコーチャンフォーに行く機会が多く、本を買うことが好きだった。そんなコーチャンフォーがつくばにあるという。それは見なくては。そのためにわざわざ?そのためにわざわざだ。あると知ったからには行きたい。同じく思い入れがある友人と、引き寄せられるようにつくばへ向かった。

 歩道の広さとショッピングモールのでかさ、並ぶいくつもの自動車販売店(ベンツの隣にポルシェ)に「郊外だ」と思う。郊外—よりも田舎だけど―に住んでいたからか、「なつかしい」気がする。でもインターナショナルスクールの広告や点在する塾は、さすが学園都市という感じだ。私が住んでいたところにはない雰囲気。炎天下を20分ほど歩き、見えてくる懐かしの外観! グレーの屋根に何かメタリックな飾り?がついている。駐車場が笑っちゃうほど広い。

コーチャンフォー」の外観

 エスカレーターであがり入り口を抜けると、児童書が並ぶ本棚が目に入る。そうそう、入り口に児童書と絵本のコーナーがあるのだった。(今思い浮かべようとすると、自分が行っていたコーチャンフォーと混ざってしまう。)いまどきの児童書はきらきらしてるなあと、ショッキングピンクの本やイラストが表紙の本を眺める。「おすすめの作家」では辻村深月が特集されていた。文庫本、翻訳小説、エッセイ、新書、語学学習教材.....。コーチャンフォーにはなんだってあるのだ。丸の内の丸善を平たくしたら、規模と種類の豊富さとしてはこんな感じかしら。日本語教材の本が一つの棚を占めており、日本で暮らす日本語学習者がさらに増えているのだろうことが感じられた。

 雑貨コーナーにも画材から粘土、文房具、ルービックキューブまで揃っている。これにも呼び起こされる記憶。文房具はコーチャンフォーに行けば揃うと思っていたっけ。私の幼い頃と違うのは「ちいかわ」があらゆるものとコラボしていることだ。いかに人気なのかがコーチャンフォーの棚を見ていてわかった。

 子どもの頃はお小遣いを見ながら、一冊だけ、運がよければ二冊くらいと慎重に持って帰る本を選んでいた。たいていは、既に読んだことがあり繰り返し読むくらい気に入っている本を選んだ。『動物と話せる少女リリアーネ』も『ウォーリアーズ』もそうして買ったんだ。いま、私はもう大人だから、読んでいない本も平気で買う。慎重にならなくても好きな本を選んで買って帰ればいいのだ。それでも買ったのは一冊だけだった。読書会で読む本がマイナーだから取り寄せなければと考えていたのを思い出し、ちゃんと岩波文庫の棚で見つけたのだ。

 

 小さい頃のことにはなんだかんだ文句をつけているけれど、コーチャンフォーは好きだったんだな。いつも、今いる場所が一番好きなことに変わりはないけれど。本を包む袋の色や店員さんがくれるドトールのクーポン券にまで「そうそう」と反応することで、細かいところまで覚えているのだと感心した。トイレの妙な華麗さまで変わらないコーチャンフォーだった。

ソフトカツゲンだ!


店の奥では北海道物産展をやっていて、メロンソーダを買った(ソフトカツゲンは別にいっか......)。