ひとり映画日記2

映画・本・イギリス(アメブロ『ひとり映画日記』から引っ越し

ラジオがあってよかった 2023.10.03

 コロナにかかってから、なんだか毎日とっても眠いです。やりたいことがたくさんあるのに帰ってきたらもう寝たい。なんなら職場を出たらもう寝たい。

 

 それでも、昨日は仕事の帰りに本を買って、一晩で読んだのだった。杉井光『世界でいちばん透きとおった物語』。もともとは山崎怜奈のラジオ「山崎怜奈の誰かに話したかったこと」で紹介されていて、いつか読もうと脳内にはメモしていた。『ハンチバック』や津村記久子の新作などあれこれが積みあがっているなか、あっという間に時間が経ち、なんと今日、杉井光がラジオに出るという。ネタバレには配慮するだろうけれど、絶対に読んでから聞きたい。ラジオを聴いてちょっと内容に想像がついてしまうのは嫌だ(私はネタバレというより、誰かの感想や事前情報で「印象」がついてしまうのがすごく嫌です)。書店に急ぎ、厚さから一晩でも読めそうだと判断。人気の本なのでもちろん平積みされていた。厳めしい顔でずんずんレジに向かっていく私を店員さんはどう思っていたんだろう。

 待ちきれなくて電車で既に読み始めていたけれど、帰宅後すぐに夕食を終え読書再開。途中、親と1時間ほど電話もしたけれど、集中して読み切った3~4時間。ラジオの前に読んで良かった。この感覚は初めて読んだときでないと味わえないだろう。確かに「世界でいちばん透きとおった物語」であり、こんなことができるものなのかと、ためつすがめつページを眺めたのだった。こんなこと思いついてやってしまうんだ。はー。物語としても面白く、文はするすると入ってきて読みやすかった。出てくる出版社のS社は明らかに新潮社だし(本書は新潮文庫)、固有名詞も沢山でてくるので現実と重ね合わせたくなる。何より、熱中して一冊読み切れたことが楽しかった。ラストに何が待っているのだろうという期待を存分に味わえた。

 杉井光さんが一番好きなミステリ小説は、本書のネタバレになってしまうので教えられないのだと言う。何それ!とてもわくわくする。いつか探し当て、これが言っていたミステリか!と思いたい。答え合わせはできないけれど。