ひとり映画日記2

映画・本・イギリス(アメブロ『ひとり映画日記』から引っ越し

演劇観てきた

 久しぶりに演劇を観てきた。観たのは富良野GROUP『悲別2023』@富良野演劇工場。閉鎖された炭坑に埋められたという「希望」を探しに、2023年12月再び、かつて炭坑で働いていた人たちが集う。活況を呈していた時代の炭坑の町を語る老婆のモノローグと、いまは原発で働いている作業員の主人公2人、「希望」のタイムカプセルを見つけに来た労働者たちの姿が描かれる。

 

 前の『悲別』も観たはずだが内容をほとんど忘れていた。炭坑では朝鮮人労働者や国内外から連れてこられた女性たちが虐待され、「人柱」にされていたこともしっかり描かれる。朝鮮人の女性が語る「偉い人たち 身体使わない 代わりに私たちが身体使う」というセリフと、黒人奴隷の歴史が「アメイジンググレイス」で重なり、さらには原発事故の処理でも実際に作業したのはもちろん「偉い人たち」ではない、と話が繋がっていく。女性差別、職業差別、人種差別が重なり合い、現代まで続いているところがちゃんと見える。

 劇の中盤、閉鎖された坑道にタイムカプセルを探しに入った労働者二人と新聞記者は、落盤事故で閉じ込められてしまう。しかし道具を見つけた(先祖が残していたもの)二人は少しでも塞がった道を開けようとする。「大きなものはちょっとずつ動かすんだ」。このセリフは今の状況に向けて語られているようでじんときた。女性差別もLGBTQ差別もなくならず、この構造はどんと構えた岩のようで、最近半分諦めたくなっていた。でも、ちょっとずつなら動かせんのかな。

 ラストのストップモーションも、かつての労働者たちが出てきて客席を指さす演出も迫力だった。あんな風に、映像を一時停止したみたいに表情も動きも止められるんだ。

 やっすい「絶望」に酔うなよ、と言われた気がした。「希望」を簡単に踏みにじらせるなよと。

 

 そうは言いつつ今日は鬱がひどかった。なんもしたくなくて泣いている。ずっと寝てた。生きているのと生活することが困難でひどく苦しくて自分を助けたいけれどでも余力がない。